歯は頑張って一人で立っているように見えて、実は隣の歯と支え合う事でその位置に立っています。
もっと言うと、「隣の歯」だけではなく、歯を取り囲む「頬・唇・舌」これらから受ける力のバランスにより、今の立ち位置を維持しています。
そのため、口周りの筋肉のゆるみ(ポカンと口を開けている状態)、指しゃぶり、爪噛み…等々、習慣付いてしまった悪い癖がそのままになってしまうと、結果として歯並びにも影響してきます。
✳︎これは、小児期における「顎の発育・歯並び」の話の際に改めて触れます。
今回は「歯同士の支え」に絞ってお伝えします。
上記した「指しゃぶり」などは、小児期において挙げられる例であり、「これから歯が生えてくる過程」の話です。
一方、成人で言うと、今度は「歯(隣の支え)を失ったあとの放置期間」が、歯並び・歯の寿命に大きく関わってきます。
写真①をご覧ください。
隣の歯がなくなり倒れてきた歯
こちらは第1大臼歯(6番)がなくなったケースのイメージ模型です。
隣の支え(6番)を失った第2大臼歯(7番)は、寄り掛かっていた壁がなくなったかのように、前方へ倒れてきます。
(噛み合わせにより、後ろ方向に傾斜するケースもありますが、前方向が多いです。)
以前お伝えしたように、歯は骨の中に足(根)をのばし、踏ん張って立っています。
歯が倒れてきていると言うことは、そのぶん足(根)が骨から抜けてきているという事になります。
つまり、しっかり踏ん張れない、ふらつきやすい状態です。
それでも、噛むたびに数十キロの力が歯に加わる。
こうなると歯の寿命が短くなり、近い将来抜けてしまいます。
そして、ここでもう一箇所、欠損部を放置したことによる被害を受けている歯を取り上げます。
写真②をご覧ください。
噛み合う相手がなくなり伸びてきた歯
歯は、上下の歯が接触する事でも、その位置を維持しています。
よって、嚙みあわせる時に、自分が接触する相手が居なくなると、そのパートナーを探すかのように、どんどん伸びていきます。
これを「挺出;テイシュツ」と言います。
これは上顎・下顎どちらでも起こり得ます。
上顎の歯は、重力で引っ張られるようなイメージがわくと思いますが、下顎の歯も伸びてきます。
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