初めまして、新井一徳(あらいただのり)です。
「皆さんの歯を一本でも多く残す。」
誰だかわからない人間が、短い自己紹介の直後に、謎な宣言をしましたが、これこそが今回の連載の最終目的です。
生活の質を良くするためのキッカケに
自院の営利目的ではなく、日本の歯科に対するイメージ自体を見直し、最終的に、皆さん個人個人が、自分の歯の守り方を把握していただき、将来的に生活の質を良くするためのキッカケとなればと考えています。
予防歯科先進国と言われているスウェーデンでは、国民の9割以上が、定期的に歯科検診を受診しています。
そのため、老人になっても残っている自分の歯の本数が多く、食事を楽しく摂る事ができ、結果的に健康な生活を送っている割合が高いとされています。
痛くなる前に治療をすべき
日本での歯科医療は「痛くなったら治療に行く」感覚がまだまだ強いです。
痛くなってからだと、治療時に痛みを伴いやすかったり、時間や回数がかかってしまう事が多いです。
次回以降、図式を用いながら詳細を説明していく予定ですので、今回は文章イメージだけでのお伝えになりますが、僕はよく臨床において、歯を「一軒の家」に例えています。
歯【家】の外側にはエナメル質【屋根】があり、その内側には象牙質【屋根裏】がある。さらに内層には歯髄(栄養源となる血管、痛みを感じる神経)が入っている空洞【リビング】が存在する。
そこで、先述した「治療回数が増えてしまうケース」を照らし合わせてみます。
小さい虫歯を【屋根の軽度の破損】と捉えると、短期で修理が終わる事が予想されます。
それに比べ、歯髄まで菌が感染した状態を【リビングまで雨漏りが進み、部屋中汚れてしまった場合】と考えると、リフォームには時間や手間がかかる事が想定されます。
もちろん、損傷がひどければ、歯を抜く【家ごと取り壊す】可能性も出てきます。
工事【治療】に時間がかかれば、その住人【患者さん】のストレスも増えてしまいますし、それを察した工事スタッフ【術者】も心を痛めます。
リタイヤ前にやっておけばよかった事
あるデータを紹介します。
「リタイヤ前にやっておけばよかった事トップ20」というアンケート結果です。
様々な回答がありましたが、第1位は
「歯科検診に行っておけばよかった」
これは、どういう事か?
定年を迎え仕事を退くと、旅行や食事は「楽しみ」の重要度を増します。その「幸福感」を測る際、口の中の環境が大きく関わります。
つまり、しっかり噛めるか否かで、将来の生活の質そのものが変化してくるという事を表しています。
調査概要→gooリサーチとプレジデント編集部の共同調査により、「人生の振り返り」に関するアンケートを実施。
2012年9月25日〜27日、55~74歳の男女1060人の回答。
男女比は約7:3。参考資料:PRESIDENT Online(ビジネス誌「プレジデント」を発行するプレジデント社が運営する総合情報サイト)
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