前回は「達成方法がわからないゴールを、一体どのように達成するのか?」というお話しで、答えは、
「無意識が手段を開発する(invent on the way)」
というものでした。※前回記事はこちら
今回は、達成方法がわからないゴールに向かう過程で起こる、「マインド(脳と心)のからくり」についてお話ししていきたいと思います。
違和感を覚える
みなさんは何かに対して、「違和感を覚える」という経験をしたことがありますか?
ある、という方は、どんな時に違和感を覚えたでしょうか?
これは「今、目の前にある現実」と「本来あるべき姿」が異なる時に起きます。
人は、ものごとに対して「本来あるべき姿=自身の無意識の中で蓄積された情報」を持っており、それを判断の拠り所としているのです。
そこで、「今、目の前にある現実」が「本来あるべき姿」と異なる時に、違和感のような形で意識にのぼってくるわけですが、この違和感は「本来あるべき姿に戻そうするエネルギー」から生まれているのです。
本来あるべき姿に戻そうするエネルギー=「認知的不協和」から生まれる
どういうことか。
例えばみなさんが引越しをしたとします。
そして、引越し当日の新しい部屋は、荷物が入っている段ボールの山。
当然みなさんは「段ボールの山を何とかしよう」として、段ボールを開けて、荷物を取り出していくことでしょう。
これは「新しい部屋」という「本来あるべき姿」に、段ボールが山積みという状況が相応しくない状態だからこそ、何とかしようとする意識が働くわけです。
この「何とかしよう」というエネルギーは、「本来あるべき姿に戻そうするエネルギー」から生まれています。
別の言い方をすると、「今、目の前にある現実」と「本来あるべき姿」が乖離していて、不協和を起こしている状態ともいえます。
これを「認知的不協和」と呼んでいます。
この認知的不協和が、「何とかしよう」というエネルギーを生み出しているのです。
「不協和」が「協和」になるとエネルギーを失う
そこで、先ほどの引越しの例に戻りましょう。
引越し当初は、段ボールを何とかしようと片づけていたわけですが、仮に段ボールが山積みの状態が数日から数週間も続くと、何が起きるでしょう。
「片づけようとするエネルギーを失ってしまう」のです。
段ボールが山積みの状態を「本来あるべき姿」として無意識が受け入れてしまい、その状態に「慣れてしまった」のです。
不協和が「協和」になったことで、エネルギーを失ってしまったといえます。
自分は何に慣れてしまったのか!?
エネルギーとは、人を行動させ、成長を促す大事なもの。
しかし、上記の例の通り、状況に慣れてしまったら、仕事でもスポーツでも学校の成績でも、「今以上になろう」というエネルギーは生まれません。
「自分は何に慣れてしまったのか」。
この慣れが、今の自分を現状に押し留めているのです。
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