前回は「人は同じモノを見ても、違うモノを見ている!?~脳のフィルターシステム~」というお話しでした。
※前回記事はこちら
今回も「人間の認知機能」についてで、「あなたの信念は誰がつくった!?~信じるもので何を達成できるかが決まる~」というお話です。
認識パターン=信念
人はそれぞれ、
「これは、こういうものだ」
「あれは、ああいうものだ」
「私はこういう人間だ」
「他者に対して、このように振る舞う」
という、身につけている「認識パターン」があります。
そして、認識パターン=信念といえます。
一般的に「信念」という言葉の意味として
① 固く信じて疑わない心。行動の基礎となる態度。
② 神仏を固く信ずること。信仰。大辞林 第三版より
です。
①の意味、「固く信じて疑わない心」が、「その信念に見合う認識パターンをつくりだしている」のです。
前回、「脳のフィルターシステム(RAS:ラス)」のことをお話ししました。
前回は「知識と重要性」の観点から盲点(スコトマ)の話をしましたが、加えてもうひとつ、「信念も盲点をつくる」のです。
ある信念があると、その信念に見合わない情報が、認識できなくなります。
認識パターン(信念)の集合体=ブリーフシステム(信念体系)
この認識パターン(信念)の集合体のことを、認知科学コーチングを学んだ私たちは、「ブリーフシステム(信念体系)」と呼んでいます。
ブリーフシステムは、物理的に存在するわけではなく、人間の「認知機能」としてマインド(脳と心)が持つ仕組みです。
このブリーフシステムが、みなさんの「無意識の行動と判断」を行い、パフォーマンスを決定しているのです。
あなたのブリーフシステムは誰がつくった?
しかし、このブリーフシステムのやっかいなところは、判断基準が「過去」ベースであること。
もう少し詳しく言うと、「みなさんが過去に受け入れた言葉」によって、決められているのです。
「これはこうだ」「あれはああだ」と他人から言われた例もあれば、自分自身の体験から受け入れた例もあるでしょう。
そして、ある信念が確立されたら、信じた通りに振る舞うようになります。
その人の持っている「潜在的な可能性」で振る舞うわけではないのです。
脳のフィルターシステム(RAS:ラス)の観点からも、何を信じているかで、入ってくる情報が変わってしまうことから、「あなたが何を信じるかによって、あなたが何を達成できるかが決まる」といえるのです。
最後に例を述べたいと思います。
ヤング・シャフル走法
みなさんは、「クリフ・ヤングさん」という農夫の男性をご存知でしょうか?
1983年に開かれたシドニー・メルボルン・ウルトラマラソン。
このマラソンは、走行距離約900kmと世界一過酷なウルトラマラソンですが、当時61歳だった彼は農夫の恰好をしたまま参加し、何と2位に1日半という大差をつけ優勝しました。
なぜそんなことが出来たのか?
それは「途中で休むということを、知らなかったから」なのです。
別の言い方をすると、「ずっと走り続けるものだと信じたことによって、圧倒的な結果を生み出した」のです。
今日では、この走法は効率がいい走り方であると考えられ、「ヤング・シャフル走法」と名付けられているそうです。