前回は「 『いつまでにこうなる!』は、今がそうではないと認めている!?~自己評価と達成力③~」というお話しでした。
※前回記事はこちら
今回は「未来の結果により、現状・過去は上書きされる!?~自己評価と達成力④~」というお話です。
「ああ、私はダメだな」と思う、現状や過去
みなさんは「現状や過去にあった出来事」で、思い出すだけで「私はだめだな」とか、そもそも「思い出したくない」という体験はありますか?
もしこのような経験があっても、その「自己評価」を変えることができます。
実は、私がその体験者なのです。
実例として、今回は私、菊池教泰のお話をさせていただきます。
私は小学1年より柔道を始め、大学3年時に、全日本学生柔道優勝大会という団体戦にて、柔道日本一を経験しました。
その決勝のシーン。
勝てば日本一という場面で、私は一本勝ちをしました。
中央大学24年ぶりの全国優勝を決めた瞬間を今でも鮮やかに覚えています。
しかし、私は1年時の後半から1年間、怪我をして治っては再発するということを何度も、何度も繰り返していました。
その過程で「もうだめだ」という思いでいっぱいとなり、柔道自体も嫌になって、大学を辞めようかと本気で考えていたのです。
そこから様々なきっかけがあり競技復帰できたのですが、怪我を繰り返していた1年間は、本当につらく苦しいものでした。
未来の結果により、現状・過去は上書きされる
しかし、日本一を経験してからは、不思議とその時期を思い出しても辛くはありません。
それどころか「あれは必要な経験だった」と勝手に「評価が上書きされた」のです。
おそらく結果を出さぬまま大学を辞めていたならば、怪我の記憶は思い出したくもない嫌な過去として私を苦しめ続けたことでしょう。
これはつまり
「過去や現在の出来事への評価は、未来の結果や状況により上書きされる」
ということなのです。
これは「今、何かに苦しんでいる人」また「過去の出来事が今を苦しめている人」
でも、「未来の結果や状況により、その評価が変わる」ということを意味しています。
さらにこの部分について、深堀りした内容を
拙著「あなたのゴールを達成する!/開拓社( http://amzn.to/1Pqm82w )」で、記載していますので、下記に引用したいと思います。
■未来の結果に、過去との因果関係はない
このことは別の表現で言えば、
「過去は未来の結果にまったく関係ない」
といえるのですが、それに関連して、五輪メダル通算獲得数28個、金メダル通算獲得数23個と、ともに五輪の歴代1位記録を打ち立てた、アメリカの水泳選手マイケル・フェルプスの話をしたいと思います。
マイケル・フェルプス選手は幼い頃、ADHD(注意欠如・多動性障害)と診断され、「集中できないダメな子」と周囲から心配されていました。
みなさんはそんな話、信じられるでしょうか。
金メダル23個と五輪の歴代1位の記録を打ち立てた、今の姿からは想像できないかと思います。
しかし、彼の姿こそが「人の能力に限界はない」と考える、コーチングの威力を証明しています。
ちなみに彼は、私たちが普及させている青少年・アスリート対象の次世代教育プログラム「PX2(ピーエックスツー: http://bwf.or.jp/ )」出身です。
※リンクお願い致します「過去は未来の結果にまったく関係ない」ということを彼自身が証明してくれています。
スポーツに限らない話ですが、みなさんは、今の「自分の現状」や「他人の現状」を見て、「自分や他人はこれくらいの能力で、ここが限界なのだろう」と過去で勝手に判断していませんか。
マイケル・フェルプス選手が幼い頃に診断されたADHDとは、「注意を持続できない」「始めたことをやり遂げない」といった状態を呈すると一般的にはいわれています。
子どもの頃、彼は周囲の大人たちから、そのような「レッテル貼り」をされてしまう状況でした。
一方でADHDは、天才的な能力を発揮することもあるといわれています。
しかし周囲にその可能性は見えておらず、誰もが彼が未来に偉大な業績を上げるなどとは信じられない状況にありました。
彼に限らず、「誰もが今のその人からは考えられないような、偉大な業績を残す可能性がある」のです。
なぜなら、現代の科学技術をもってしても、正確に人の可能性、潜在的な能力を測定することなど不可能だからです。
「過去は未来の結果にまったく関係ない」。
これは「未来の結果に、過去との因果関係はない」ということです。
通常、時間の流れというのは「過去から現在、そして未来に向かって流れている」と思われています。
いわば、過去の積み重ねが現在の自分である、ということです。
しかし、私たち認知科学に基づくプロのコーチは、時間は「未来から過去に向かって流れている」と考えています。
「そんなバカな!?」と思われるかもしれませんが、例えばこの書籍を読んでいる今、「読む前のみなさんはすでに過去」なのです。
「この書籍を読む」という「未来(ゴール)を設定し、選択した」からこそ、今この書籍を読んでいます。
そのように、どんどん過去に向かって時間が流れていっているのです。
ADHDと過去に診断されたマイケル・フェルプス選手が、その延長線上で未来を考えていたら、偉大なスイマーにはなれなかったかもしれません。
しかし、彼は「過去の延長」ではない、「未来になりたい自分」を「ゴールとして設定し、選択した」からこそ歴史に残るアスリートとなりました。
このように「マインド(脳と心)の働き」により、「過去や現在の延長線上にない未来をつくっていく」のが「コーチング」なのです。
みなさんはどのような「未来(ゴール)を設定し、選択する」のでしょうか。
「現状や過去、そして他人の評価」に囚われることなく、マイケル・フェルプス選手のように、「自らが心から望む未来(ゴール)」にフォーカスをすれば、それを実現できるのです。
「今までの自分」は「まだ見ぬ遥か彼方にいる自分」へと変革できる、無限の可能性を秘めている。
認知科学コーチングをお伝えすることで、多くの人にそう感じてもらえたらと思います。
引用:超一流アスリートのマインドを身につけて あなたのゴールを達成する!
菊池教泰 著