前回は「未来の結果に、現状や過去との因果関係はない!?~自己評価と達成力④~」というお話しでした。
※前回記事はこちら
今回は「人は自分の扱い方を他人に教えている!?~自己評価と達成力⑤~」というお話です。
普段の言動が「自分の扱い方」をまわりに教えている
みなさんはこの言葉を聞いて、どんな感想を持ちましたか?
「いやいや、そんなことはない!」
と思っている方もいらっしゃるかもしれません。
特に仕事では上司部下の関係で、どうしても「本来の自分ではない自分」で臨まないと組織が上手く回らないんだ、という声もあるでしょう。
しかし、自分の言動が「自分をこのように扱ってほしい」という、“今の扱われ方を強めている”側面があるのです。
このことについて、経済評論家の勝間和代さんが、著書「断る力」の中で的確な描写をされていますので、下記にご紹介したいと思います。
“私たちが相手からどのように対応して欲しいか、取り扱ってほしいかは、私たちの言動が相手に教えている、ということなのです。
例えば、私たちがおどおどと自信なげに、しかも相手に媚びると、自然と相手は私たちよりも上位に位置づけられ、上下関係になってしまいます。
そのため、上意下達で命令する、ということはあっても、対等なパートナーとしてみなされなくなってしまうでしょう。
威張りたい衝動を満たしたい人と、媚びで相手の歓心を買いたい人の組み合わせが互いの行動を強化させ、一見うまくいっているような夫婦関係、上司と部下の関係であっても、互いにその媚びと威張りを強化し合ってしまうのです。
「相手の下手に出るような行動」を繰り返すことで、そのような従順な配偶者からのメッセージを読み取った相手は、ますます配偶者を下手に扱ってしまうのです。
引用:断る力(文春新書)
勝間 和代 著”
これは簡単にいうと「関係性が対等ではない」ということです。
エフィカシー(自己効力感:ゴール達成能力の自己評価)という概念を、以前のコラムでお伝えしてきました。
※第20回コラム、第21回コラム 参照
エフィカシーは「他人からの評価」ではなく、「自分の自分に対する評価」であり、「他人」という言葉が一つも入っていません。
このエフィカシーを上げていくことが重要なのですが、自己評価なので、ある意味「他人の評価は関係ない」わけです。
しかし、他人の評価は関係ないとはいうものの「環境が自己評価をつくる」面も大きい。
というのも、まわりから「あなたはこういう人間だ」という“レッテル”を貼られ続けると、「自分はそういう人間なんだ・・・」という自己像(セルフイメージ)を受け入れてしまいがちだからです。
自己評価は「環境(他人)要因と自己要因」が双方向に作用しているわけです。
ただ、環境からのレッテル付けが自己評価をつくっている面はありますが、逆もまた然りで、自分の発言・行動が他人からの「強力なレッテルづけ」を生み、さらにそれを強めるサイクルをつくっている。
このことに、私たちは気づく必要があります。