前回は「苦しい時に頑張れないのは“心が弱いから”ではない!?~自己評価と達成力⑦~」という「セルフイメージ(自己イメージ)」に関するお話しでした。※前回記事はこちら
今回も「“結果が出ない”のが自分らしい!?~自己評価と達成力⑧」というお話で、前回の続きです。
結局、元の自分らしいと思う基準に戻る
「セルフイメージ(自己イメージ)」とは、「自分らしいと思う基準」「自分自身に対して持つ無意識のイメージ」のことでした。
セルフイメージが低いと、どんなに良い結果が一時的に起きても、結局は元に戻ってしまうのですが、その例として、私の知人の話をしたいと思います。
彼は大学まで柔道をしていて、社会人になってからは、趣味程度の形で柔道に取り組んでいました。
その彼が、社会人としての試合である実業団の試合に、お祭り感覚で出てみようという気になり、出場しました。
そこで1回戦、いきなり優勝候補と試合をすることになったのです。
実業団の試合での優勝候補というのは、当然五輪を目指す位置にいる選手であり、一流の選手といえます。
ところがこの1回戦、私の知人が先にポイントを取り、先制します。
そのときに彼が思っていたことは、後ほど聞いたところによると「俺、勝っちゃっていいのかな」ということだったそうです。
つまり、「自分はお祭り気分で出場しただけの選手なのに、真剣に五輪を見据えて優勝を狙いにきているような選手に勝ってはいけないのではないか」というセルフイメージが、そこにはあったのです。
結果、最後には逆転の一本負けをしました。
しかし、彼はこの結果に対し、「まあ、当然だよな」と逆にホッとしており、「元の基準」に戻ったことに安心して、満足していたのです。
他人から見た努力が、本人にとっては当たり前でしかない
いかがでしょうか。
みなさんやみなさんの知人でも、似たような経験をされた方がいらっしゃるかもしれません。
また、私が柔道の現役時代、JISS(国立スポーツ科学センター)という施設で、膝のリハビリトレーニングを行っていたときのことです。
後にシンクロナイズドスイミングの五輪メダリストとなる女性アスリートが、「がんばっていると思っているうちは、一流とはいえない。がんばっていることが、当たり前にならなければ、一流とはいえない」と私に向かって発言しました。
セルフイメージの核心をつく言葉です。
一流のアスリートは、他人からみると「あの人はものすごく努力している」と感じられても、本人の感覚では「当たり前でしかない」のです。
いかにこのセルフイメージを高くするかがポイントであり、次回以降も深堀していきたいと思います。